ガーデン・シティ・ライフ・ログ

ジュビロ(Jリーグ)とか、野外フェスとかアートとか、庭園巡りや町歩き記録。

ap bank fes'11 @ 静岡県ヤマハリゾートつま恋 3日目





ちゃんと書き直し。1日目に次いでap bank fes'11の3日目です。その前に。朝5時に起きて女子W杯を見る。「さすがにリードされているか…」と思って寝ぼけていた数分後、宮間のゴールで同点!おおお、すごい。そのまま延長戦。準決勝と違ってなかなか落ち着いてボールを繋げない。日本もよく走っているのだけど、アメリカのフィジカルが一回り上回っている。再度リードされる。後半の澤から近賀へのパス。あの時間、あの場面でサイドバックの位置からフリーランニング出来るのも、そこにパスを通せるのも、二人ともすごい。そして澤のあの場面でのテクニカルなゴール。もうすごすぎ。あとの展開、両チームの精神状態は様々なところで語られている通りだと思うけれど、あのPKがどちらに転んでいようが、「世界の決勝の舞台で延長を戦って同点」だった時点で、世界一に並んだって言ってくれていいもんだった。「PKで勝ったから女神が微笑んだ」のではなく、もうすでにあの時点でなでしこジャパンはワールドカップを手にするのに十分値するチームだった。と思う。

W杯を掲げる映像を見届けて(夢心地だなあ。あまりに堂々たる戦いぶり過ぎて忘れちゃいそうだけど、こんなに早くあのユニフォームが世界でトロフィーを掲げるとはさ…!)、二度寝。そもそも前日自転車で走り回って疲れ切っていたので、二度寝した時点でもう12時のスタートに間に合わせる気無し。Great ArtistでもCoccoCharaRHYMESTERと一番見たい日がこの日だったのだけど…。今回の帰省で雨具を持って帰ってきていなかったのもあり、まあ雨なら早くから行くのもなあ。という気持ちもあった。犬、姪と遊んだりぐだぐだした後、実家を出る。浜松駅での乗換も急がず…つま恋に着いたのは15時半前ぐらい。風向きの影響か、駐車場からも――kotiの丘を越えるまで、ステージの音は聴こえず(風向きによっては駐車場まで聴こえるのだけど)。駐車場から入り口に向かうところで、少しさーっと雨が。もうよくよく考えれば、ピロウズって雨男が居るバンドだったわー…と思いながら(笑)初日に案内板に挟まっていたドナルドダックは、まだ挟まっていた。

Bank Bandももう終盤、丁度最後のゲスト・小田和正さん。"キラキラ"とか"緑の町"とかやってた。桜井さん「ああなりてえー」って言ってたけど、(良い意味で、)桜井さんも良いおじさんの域だと思う。語弊があったら申し訳無いけど。いやだって40歳なのにあんなに走るんだよ。ステージでもピッチでも…。そしてまたBank Band。混む前に飯いこうかなと思ってステージエリアから去ろうとしていたら、「最後の、花火に!」みたいなMCをしていたので、おおお!と思って戻る。"若者のすべて"。昨年は(会場で聴いてはいたものの)ステージエリアには行っていないからこの曲がどう受け止められていたかわからない。今回初めて光景としては目の当たりにした。フジファブリックファンには賛否両論あったカヴァーだと思うし、その答えは今もどこにあるものでもない。でも、今こうしてこの広い空間に鳴り響くこの曲のフレーズを聴いて、志村がすごく裸な気持ちで作った曲なんだって思ったし、その曲で3万人が跳ねている姿は嬉しい以外の何者でもないと思った。誰が歌ったって、それがどれだけ歌に力がある人だって、紛れもなくあの弱い男の歌だ。そして歌は生き続けてていて、新たにも命は吹き込まれて、誰かの心に届いていくんだ。

そしてthe pillowsです。その前に友人にメールしたら「最前に行こうとしてるんだけど、ミスチルファンがどかない…」と。最前にいこうとしたんだ(笑)絶対休憩タイムになると思うから頑張って前行こうと思っていたんだけど、10分前ぐらいに行ったら、確かにもう腕組んだミスチルファンが前の方に固まってしまっていてそんなに前に行けなかった。昨年のフラカンは「2列ぐらいしか居なかった」と言われていたから(笑)、もっと前行けるかなあと思ったんだけど…。拍子抜け。遠いぜ。まあでもすなわち人が集まっている状況ではあったし、周りにもちらほら(反応的に)ピロウズ好きそうな人も居たし、BUSTERSタオルとかしている人も結構居た。ホームとまでは言わないけどアウェーとまでは思わなかった。ピロウズ見るのは4月のツアーファイナル以来かな。"インスタントミュージック"、"Comic Sonic"、"Funny Bunny"、"空中レジスター"、"この世の果てまで"、"Fool on the planet"。MC殆ど無し。"Fool on the planet"の後も何かあるかと思ったけど無かった。

なんとなくap bank fesって場なので、そういうモードの曲…ミスチルファン受けしそうな曲が多いんじゃないかと予想してたんだけど――前回とかぶるけど"ストレンジカメレオン"、"ハイブリッドレインボウ"、今回のツアーでメッセージ込めてやってた"No Surrender"とか。もう全然違った。なんでこんなポップ・スターが集まる場で"インスタントミュージック"なのかとか、しかもシングル曲2つだけで、なんで"空中レジスター"やるんだろとか(笑)しかし"Fool on the planet"での締めも意外。実はこの曲ライブでは初めて聴いた気がするなあ(ライジングとかで聴いたっけな…)。それ自体は結構ぐっと来たんだけど――この場だったからこそ“誰もが忘れても 僕は忘れたりしないぜ”とあえて歌いたかった――というのもなんかしっくり来ないなあ、なんだろう(笑)MCもほぼ無かったし(なのにWASAO and SAWAO Tシャツだったんだぜ(笑))、5分ぐらい巻いてたと思うし、もう1曲でも見たかったな。うん、もっと長く見たい。という欲求。次どこで見られるだろう…。

大トリ、Mr.Children。立見ゾーンだったのですが、きっとファンが前の方に押し寄せている分、後ろの方は適度にスペースがあって過ごしやすかった。ミスチル見るのは2年前のap bank以来かな?(昨年見れてないから。)"Dance Dance Dance"、"World's End"、"and I love you"、"もっと"、"いつでも微笑みを"、"Sunrise"、"youthful days"、"エソラ"、"イノセントワールド"。ここまで本編。混む前に帰っちゃったのでアンコールは聴いてないけど、初日は"かぞえうた"と"to U"だったかな。きっとあんまりツアーではやらないような曲もやっているんだと思うし、序盤からおおお!って感じのセットリストだった。“さあ踊ろう世界が終わっても”("Dance Dance Dance")だったり"World's End"だったり、"Sunrise"だったり。なんだかんだでそういうメッセージのある曲が選曲されていたのかなと思った。聴きたい曲で今日聴けなかったやつはきっと9月のスタジアムワンマンで聴けると期待。(ap bank含めてフェスでは見ているけれど、ワンマンは10年以上ぶりです。)

ツアーやスタジアムでそうかは知らないのだけれど、今日はナオト・インティライミのサポート無く、5人編成。前にピロウズと2マンやった時も5人編成だった(でもあの時は小林武史じゃなかった)んだけど、その時と比べても音のスカスカ感みたいなのは今回は全然感じなかった。桜井さんがギター殆ど握らなかったにも関わらず。それがすごく良かったというか…なんか、バンドが小さくなっていくのはいいことだと思う。それが等身大のMr.Childrenというバンドらしさを感じたからかな。しかし田原さんのギタープレイをこういう編成で見ると、いかにPeeちゃんって安心してみていられる存在なのか、というのも思う(笑)でもそういうの含めて、ポップ・モンスターであり、ロック・バンドのMr.Childrenって存在の懐のデカさを見た。ライジングで見た時、「ロック・バンドとしてのミスチルって何だろう?」という自分の中の疑問に答えが出て、日本のU2であり、コールドプレイであり…みたいなことを当時書いたんだったと思う。どの曲も壮大過ぎるんだけど、その中でも"エソラ"って本当にすごい曲だと思う。今回は「混む前に新幹線で帰る」がすごく大きなテーマだったので帰っちゃったけど、ワンマンは最後までちゃんと見るぞ。

"イノセントワールド"の時、瞬間的に大雨(もうすでにkotiに向かっているところ)。あっという間のびしょびしょ。最後に蔵王の肉そばを食べて帰路へ。混む前なのでスムーズにバスにも乗れ、あまりにスムーズ過ぎて19時半前には掛川駅に着いてしまって、予定の20時の新幹線ではなく一本前の19時半の新幹線に…駆け込む。最後濡れた影響で車内の冷房が寒い。うとうとしながらこだまで小田原下車。小田急で下北まで。小田急でもほぼ眠っていた。下北乗換、井の頭線に乗換えたところで、最寄りで且つ自転車をおいてきた井の頭公園駅にて人身事故発生。富士見が丘までしかいかないとのこと。仕方無いので、(タクシー使うのもなんか勿体無いと思ったので)富士見ヶ丘から久我山まで一駅歩いたところで、もう電車が復旧。1時間は掛かるとか言ってたのに。東京ってすごいな(笑)駅では現場検証をしていた。電光掲示板の「@@@」なんて表示、初めて見たかも。23時半頃帰宅。素直に新幹線で東京まで来てしまっていれば1時間半は早く着けたかも…。


何日か経ってしまったけど、まとめ。今回帰省する途中に、栃木県で震度5強の地震が起こった。もう小田原の辺りに来ていたけどかなり揺れたし、普通に働いてたらビルの上の方で震度4を受けることになっていた。そして新潟県中越でも、千葉市美浜区も、横浜市も、ひたちなか市も震度3。今年も夏フェスの季節が来たって浮かれモードだったけど、何が起こっても変じゃない、そんな時代に今居るんだなあって思わされた。今回のap bank fesは復興支援という大義名分があったわけだけど、それは果たしてどれぐらいお客さんにとって伝わっていたのだろうか。復興ってものに対して肩肘張らなくてもフェスに対してお金を落とすことが義援金という形で力になる…っていう仕組みも、素晴らしいことではあると思うんだけど…それでもやっぱ気持ちも大事だよね、っていう。3日目、pihaのテントで大槌町の復興プロジェクトのトークをやっていたんだけど、(それまでは何もやってなかったからちょうど良い日陰だったと思うんだけど)それが始まってから結構席を立つ人が多くて。

かく言う僕ももうピロウズ始まりそうだったから途中で抜けたんだけれども、でもそんなピロウズファンは少数派だろうと思うと(笑)、なんかそんなにみんな東北のことに興味がないのかなーというか、避けて通りたいのかなあというか。あくまで、毎年恒例のつま恋でのミスチルライブに来たかっただけなのかなあ。いつ大地震が起こってもおかしくないと言われる静岡県民にとって、興味の対象でないとは考え難いけど…そう考えると、継続的にap bankが復興やそれに対する勇気ってところを大義とするならば、来年は東北開催というところを是非検討して欲しいし、やっぱ予定調和になっちゃダメな気がするのだ。つま恋の構造を活かしたエリア作りは充実の一途だし、インフラもオペレーションも完成度が高い。そして何より浜松の経済(ホテル業界)にとっても非常に大きなイベントになっていると思うし、僕も帰省を兼ねて毎年来ているだけだから、別の場所で開催されて行きたいと思うかはわからないけど、それでもこのフェスの意味というか――ミスチルの歌のパワーを考えるとね。余計静岡が独り占めしてちゃダメな気もするのだ(笑)…でも一度行ってみたいな、つま恋じゃないap bank fes。どこでやってもきっと良いフェスだよ。

「忘れちゃいけないよな」って思うと、the pillowsがこの日"Fool on the planet"をあえて持ってきた気持ちを、後々ながら痛感する。さて。ap bankはこのフェス開催前に「フードフェス」の開催を発表。飯フェスかあ。B-1…とかってよりはアース・ガーデンに近いイメージなんだろうけど。話は変わって、今年のBOOK OFFの決算で、本体BOOK OFFは赤字転落した(?)けど、古着事業が伸びたおかげで全体はプラスだった…みたいな報告が出ていたような記憶がある(違うかも)。確かにMODE OFFは増えているイメージがあるし、同業他社であるゲオも古着事業をどんどん拡大しているイメージ(東京はわからないけど、浜松のゲオはどんどん2nd Streetになっている)。なんか、“衣食住”という根本に立ち返る流れが今あるんだろうか?音楽のパワーが失われているとは…ミスチルを見ていれば思わないが。でも業界が経済的に落ちぶれているのは事実で…それは中央なんかのことより、地方のCD屋さん…イケヤとか(笑)行って、何とも言えない気持ちになって…。

このフェスが始まった2005年、無職だった(けど一応学生でもあった)僕は時間に任せてフェスにかなり通っていた。ap bankではボランティアもした。その両方の経験によって芽生えた音楽コンテンツへの情熱…好きなコンテンツに関わる仕事をしたいというのが、その後東京へ出る理由であったり、仕事へも繋がっていった。あれから6歳年を取って、僕も20代前半から後半になって、音楽コンテンツへの情熱は確実に変わってきている。フェスやライブにはまだそこそこ通ってはいるものの、もうほんとCD店に行かないし、雑誌とか読まなくなったしね…。誰しもが年を取ったらそうなるものなのか、音楽シーンの持つパワーもやはり失われてきているのか。個人的に今旅行やアートや建築がすごく面白いのは、それは結局自分にとって新しい知識だから、刺激を受けているだけで、それが何に繋がるかはよくわからない。色々なことを考えると、やっぱり僕は音楽の可能性や力を信じたい。その中で、僕にとって一番パワーをくれる存在は、どんな海外の大物よりも、ピロウズミスチル、そんな気がするので、この2組が立ち並んだ今年のap bank fesはすごく力をもらいました。復興とかでなく、僕自身、まだまだ音楽にパワーをもらいたい。