ソーシャルメディアウィーク「Spotify ソーシャルミュージック」「クールジャパンを再定義してみる~コンテンツ輸出の現状と未来~」「2020 東京オリンピックとテクノロジー革命」を聴講して思ったこと
前回のソーシャルメディアウィークでの聴講の続き。思ったことをちゃんと書こうと思ったけど、結局書けそうにないので諦めてメモったことだけアップする。
「Spotify ソーシャルミュージック」
Spotifyジャパンの野本さん、早川大地さんなどによるセッション。これ終わって出ていく人も多かったので、Spotifyに関して気にしている人たちはやはり多いんだなあと感じた。
- 最近の日本のリスナーの動向
- 日本人はチャートが好き
- レンタルについて⇒マスに向けてのプロモーションとして「コアな音楽好きが好きそう」という出し方
- 「CD買わなきゃダメっす」という24歳ぐらいの若い子が居る
- アーティストと直に会った時に買う、という人が多い(CDショップで探すのは手間)
- バンドは手売りの方が強い。(オリコン20位=どメジャーぐらいまで行くと違うと思うが)
- Spotifyについて
- SpotifyはDLして所有する、というものでもない。ライブラリを持つ、そこにアクセスする権利を買う、というもの?
- Spotifyの目的は「音楽を買ってもらう」ということではない?「音楽にふれてもらう、パスを出す」ツール
- 有料会員率25%⇒5~7%いけばすごい
- 「Music for every moment」
- SpotifyはFacebookと仲が良い(FB上に履歴が流れる、連携ができている)
- ONE OK ROCKのEU/Asiaツアーのサポートでは、100万回再生、6,000人フォロワー獲得
- Spotifyが日本にあったらどんな風に使いたいですか?
- 日本の音楽シーンに期待すること~音楽が日常に寄りそうために
- 橋渡しをしてくれるのがソーシャル
- 日本はマネジメントが強い。その分、今インディーは活発
- Spotifyは「新しいアーティスト」を生み出していく
- Spotifyはクオリティ・コントロールはしない。
- レコード会社要らない説もあるけど、ちょっとはクオリティコントロールが入ることによって質が上がる可能性はある。そうじゃない時は「芸術」として作れるかどうか
- その「芸術」が猫動画にかなわない現状がある。そこを打破する仕組みがあるか、Spotifyに期待したい。
- 音楽が日常に寄りそうための敵は猫動画やソーシャルゲームである
「クールジャパンを再定義してみる~コンテンツ輸出の現状と未来~」
きゃりーぱみゅぱみゅでお馴染みのアソビシステムの代表の中川さん、Tokyo Otaku Modeの亀井さん、日経新聞の井上さん。
▼アソビシステム・中川さん
- 「かわいい」「原宿」をキーワードにコンテンツビジネスを展開
- KAWAii is Globalized
- 原宿にインバウンドさせたい。
- 海外に日本を売り込む時に気をつけること、課題・大変なこと
- きゃりーのツアー第二弾。海外戦略のポイントは、YouTubeの動画が世界中に拡散され、本人がTwitterに画像を上げたらすぐ世界に拡散される。スピード感が大事。日本で活動しているのと同じように海外で活動してゆく。ワンマンでツアー、曲が日本語ということに躓くだろうと思っていて、そこを考えずにとりあえず行ってみたら、MCが日本語でも案外通じる。日本であるということがカルチャー的に価値が出てきている。難しいことは、ビザとか機材とかそこでの躓きが大きい。チケットがソールドアウトしていてもビザがとれなくなりそうなことがある。
- 今回のツアーは「世界に根付いていくきゃりー」。シアトルは9割が地元の方、ちょっとコスプレの方も居たが、親子が多かった。意外な客層。本人が何で知ったの?と聴くと、YouTubeがほとんど。
- デビュー時のミュージックビデオでの勝負。カワイイという言葉をよく使う、AD益田セバスチャンの色彩感覚。
▼Tokyo Otaku Mode・亀井さん
- 広告とEC
- インターネット中心、Facebookページ
- Tokyo Otaku Modeのプロモーション戦略
- 「見ている方にどういう風に楽しんでもらうか?」
- コンテンツを持っていないメディアである。政治的な問題や大人の事情で届けられないコンテンツをどういう風に届けていくか。
- 最初は大手相手にコンテンツだけとってくるのが難しかった。
- なので、自分たちで取材をしにいこうという風になった。でも意識してみると、交通広告が海外では信じられないぐらい溢れている。
- 日本のことが好きな海外のフォロワーにコンタクトしてみたり。
- 海外の掲示板をウォッチしていると、たとえば進撃の巨人が放送された30分後には、どこかに翻訳されて上がっている。正規の方法ではないのは分かっているが、それぐらいのスピード感で海外には動いている。
- コスプレが異常に人気。やりながらユーザーの声を聞いて編集に生かす
- 海外のバンダイチームからコンタクトがあった。行ったら全員海外の方で、日本人がやっていると思われていなかった。
- やり始めてわかったこと:作品に対して権利が国ごとに切られている。「どこですか?」と聞かれる。いきなり海外と言う時にビックリされる。
- 海外での権利問題(音楽について:中川)
- 空港や街で写真を止めさせたらファンが怒るから止めない方が良いよ、ということは言われていたので、撮られていても我慢していた。ライヴ中も「写真撮りにきたのかな?」ぐらい撮っている人も居る。最初はなんだろうなと思っていたけど、逆に「広がっていくんだな」ということを感じている。そういう人が帰ってブログに書いてくれる。バズの作り方。ネット上に写真が沢山転がっているのは、きゃりーは良い風に転がっている。
- 国内での撮影禁止はなんとなく当たり前のことだったし、「セットとかばれるとつまらなくなるかも」と考えていたけど、どんどん出していった方が面白いのかな?ということも考えている。
- 「クールジャパン」って聞いてどう思うか?
- 応援体制はできつつあると思うけど、「予算があるから」ってことの為に海外へ行こうとしている人も増えてきていて、それはちょっと違うんじゃないかと感じる。(中川)
- 「クールジャパン」ってなんだろう?=Wikiで見たら、海外の学者の人が言ったって話。僕の持っているイメージはエンタメ中心なのかなと思っていたら、新幹線や橋の技術もそうだった。あと不動産や建築とか、相当広い。予算600億ということの内訳はボヤっとしている。石川県の旅館に中国の大連から人を招くのに、クールジャパンの予算が使われていたり。(亀井)
- そこの予算はとれていない、そこまで手が回っていない。(中川)
- 日本人の外国法人なので、助成を受けられない。レポーティングが面倒くさいというのもある。(亀井)
- さっきの話の通り「クールジャパンの為に、何かしなければ」というのをよく聞く。それは大きい会社であることが多い。助成金って本来は小さいところを手助けするために使われるべきでは。(亀井)
- 「カワイイ」「オタク」という言葉が代表格であり、代表するコンテンツであるきゃりーぱみゅぱみゅがクールジャパン助成を受けていないという現状。(井上)
- 経産省との連携、ヒアリングはある。結果、原宿とロスのファッションストリートとの連携ということになった。(中川)
- クールジャパンを通すと、スピード感が合わない。(井上)
- 「チームジャパン」としてタッグを組んだ方が良いのか、ピンの方が良いのか?(井上)⇒リアルなところでは組んでいった方が良い。細かいところで言うと、現地で使う業者とか。手数料の問題も大きい。ただ現状リアルのところで、オールジャパンでやるという組織はない。そういう繋がりや助けはあるが。(中川)
- ビザの発行はとりやすくしてほしい(政府に動いてもらって)。海外の起業者が増えているが、支障になっているのはビザの問題であることが多い。(亀井)
- オタクという言葉からは秋葉原を連想することが多いと思うが、海外ではカワイイとオタクは圧倒的にカワイイの方が認知度が高い。青山や表参道はハイファッションを意味する。オタクという言葉を再定義する意味で、表参道にいた方が良いのではないかと考えた。(亀井)
「2020 東京オリンピックとテクノロジー革命」
- ザハはあくまでスーパーバイザーなのでデザインの変更は織り込み済み。器よりもあそこの中でどういうテクノロジーを実装するかが実は大事。
- 例えばサッカーW杯の再誘致を見据えて実装を考えているのは、カメラ500台ぐらい設置させてそれで見えないところまで撮影したものをスタジアムその場で映像処理して、それを他ビッグスタジアムのピッチにプロジェクターを敷き詰めて、平面ではなく立体的にパブリックビューイング配信をすることまで計画している。そしてをその技術を世界のスタジアムに出してゆく。
- 新しい国立競技場が出来たら、競技場という名前ではなくなる。収益の50%はエンタテイメントは考えている。
- 8万人埋められるアーティストがどれだけ居るか?(川田)
- 色々なアーティストが復活するんじゃないか(笑)(堀)
- 2019年のラグビーのW杯をパッケージで考えてほしい。これは全国10箇所ぐらいでやる。たとえば東京オリンピックの時、6000チーム位が日本へ来る。五輪は東京だけかもしれないが、この6000チームがリオが終わった瞬間、日本へ向けて準備をする為に毎年、毎夏日本の各地へキャンプに来るようになる。日本全国がそのホストである。
- (新国立競技場の)あの屋根の素材はまだ無い。そこから作らなければいけない。でもそのためには消防法を変えなければいけない。逆に言うと、「消防法があるから作れない」のではなく、法を変えればいい。オリンピックではそれを変えられる。
- オリンピックの度にメディアイノベーションが起こっている。これは起こさなければいけないと思っている。テレビを否定するわけではないけど、今までのテレビ時代は終わるのはここかもしれない。
まとめとか思ったこととか
「思ったことをちゃんと書こうと思った」と冒頭に書いたんですが、そこでGroovyを引き合いに出そうと思っていたら…
DeNAの“ソーシャル音楽”アプリ「Groovy」主要機能が終了 開始から1年で
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/25/news142.html
という風になってしまっていたようでして。上の記事の関連記事にあるサービスイン時の“「ソーシャルミュージックという新しい楽しみ方を生み出したい」としている。”の一文がせつない。
たとえば、
- 日本人はチャートが好き
というメモが上の方にもあるんだけれども、本当にそうなのか?「そうなのか?」というのは、果たして日本人特有のことなのか?海外は日本ほどメインカルチャーとサブカルチャーが剥離しているんだろうか?「海外でも」っていうと海外コンプレックスみたいな感じがするんだけど、「日本だけの現象なのか?」という。
じゃあ、なぜチャートが好きなのか?散々言われていることだと思うけど、積極的に音楽の情報を得ない一般的なリスナーにとっての「音楽」って、やはり周りとのコミュニケーションツールのうちの一つなんだと思うのです。たとえば共通の話題としてのテレビ番組だったり、CDの貸し借りだったり(もうCDの貸し借りなんて無いか)、カラオケだったり。カラオケなんかも「若者のカラオケ離れが――」なんて言われたりしている。
そもそも若者――だけじゃなくおそらくごく普通に過ごしている人にとっておそらく、音楽への係わり合いが減っている(そしておそらく若い世代の方がよりそうである)。ざっくり言うと、「まあ別にそれでもいいんじゃん」と思うんだけど、――「思うんだけど」で思うことがあるんだけど、上手く書けそうになくてここで止まった(笑)ま、でもだから最後の“音楽が日常に寄りそうために”ってセッションのテーマは良いと思ったし、誰かが「そのための競合は猫動画である」というのは面白いなと思った。
んで。先日やっぱ吉祥寺のカフェでボケーっとしていた時、隣のテーブルの女子二人組(会話から察するに春から女子大生の女子高校生)の会話の中で、やがて音楽とかライヴの話になり、そこで出てきたアーティスト名が、miwa、西野カナ、レミオロメン、マンウィズ、ゲスの極み乙女、indigo la end――ってな感じで。なんか幅広いなーと思って(笑)どこで情報得たらそうなるんだろう?地上波だけではそうならないだろうし、逆に地上波じゃないと触れないんじゃないかって思うものもある。ただ少なくとも、そこに自分や、たとば「音楽好き」な人が感じているようなシーンの壁はないのではないか。
そうした意味では、新しいプラットフォームや市場は――案外そういった「一般的な音楽好き」だったり「ヒットチャートが好き」な人だったり「若者」だったりするんじゃないかと思った。
「人々の豊かな音楽生活の手助けになるようなサービス」
ということを、自分が前職の頃よく考えていた(なのでもう7、8年前の話)。それについて、ちゃんともう一度文字にしてみよう、とこの日のセッションを聴講する前後ぐらいに思ってたんだけど――うーんやっぱ上手く頭がまとまらなかった。自分の趣味や生活が完全に音楽からサッカーに切替りつつある今だから、それと時間もあり色々考え始めた今だから考えられることもあると思ったんだけど。
でもその一方で、前職の先輩がこの週末にMusic Hack Dayに参加していた。なんかやっぱそういうスピード感というか、「とりあえずやってみる、だって楽しいから、好きだから」というフットワークであるべきなのかもしれない。でも、自分も最初はそうだったんだし――ネットとかウェブとかいうものに対して。それともう一つ、昨日のチームラボの猪子さんの阿波踊りの話が「なぜそうなってゆくか?だって元々そうだったから」というような――「根源的にそうだから」ってことは一つの真理だと思っていて、たとえば今後音楽というコンテンツの価値の変遷の仕方も「元々そうだった」ようになっていく、ということでしかない。でもたとえそうであろうが、かつて「あたしー歌が好きぃー」と歌った人が居たように(笑)、「好きだからいいんじゃん」っていう。ソフトランディングさせられるツールが幸せなのかもしれないですね。全然まとめられないな。またいずれ思い立ったら書きたい…。