ガーデン・シティ・ライフ・ログ

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九州旅行②。五島列島の旅・野崎島編。一番行きたかった場所。無人島にある世界遺産候補・旧野首教会(野首天主堂)へ。

無人島にある世界遺産候補・旧野首教会(野首天主堂)へ行ってきた。

初めての五島列島の旅、その2。福江島編はこちら↓。
romitou.hateblo.jp今回の旅の大今回の大目的である旧野首教会(野首天主堂)について。詳しくは小値賀島の公式サイトを。
http://ojikajima.jp/category/nozakijima/nokubiojikajima.jp
存在を知ったのは3〜4年前のある写真展。廃集落に佇む教会の風景に一目惚れ。そこから最も行きたい場所の一つだった。…ただし無人島になるぐらいなのでアクセスは決して良いとは言えない。小値賀島までは博多から深夜フェリーで5時間。または佐世保からフェリーで2〜3時間。
まずここまで辿り着くまでの船が1日4〜5本。更にそこから1日2往復の町営船に乗り継いで、教会のある無人島へ向かう。この2本も「朝と夕方」なので教会だけのために気軽に乗れるものでもない。九州本島への日帰りは不可能。更に船だから風が強いと欠航になるリスクも――。という条件なので、何度か計画を立てながら(民宿の予約をしたこともあった)行けてなかったんだけど。

前エントリにも書いたけど、この秋ふと「死ぬ前に見たい景色ってどこだろう?」と思った時に、旧野首教会が思い浮かんだ。…まあ、正直言ってこの秋はここ数年の中でも一番参っていたというか落ち込んでいた。しんどくって――せめて一番行きたいと思っていた場所へ行こうと。――そこに鳥栖アウェーもあったこと、前週に(元々予定立ててた)香港旅行でだいぶ気持ちを取り戻せたこと、タイミングも良かった。

小値賀島から野崎島へ。


というわけで10時にフェリー太古で福江島を出て13時に小値賀島へ到着。何度も何度もググり続けてた小値賀島。ようやく来れた…!ちかまるかわいいなおい…!
ところで、野崎島へ行く為に最もポピュラーなコースは公式サイトでも紹介されている

  • 博多を深夜フェリー「太古」で出て、小値賀に朝5時前着
  • 仮眠して、朝7時25分発の町営船で野崎島に渡る
  • 15時発の町営船で小値賀島に戻る
  • 小値賀島の宿泊施設で1泊

だと思う。自分も以前一度これで計画を立てた(…残念ながら太古の休業日にぶつかり無くなってしまったけど…)。で、今回の自分は福江島から来るというルートだったので、上記には当てはまらない。

  • この日は小値賀で一泊して、翌朝の町営船で野崎島に渡り、夕方の便で戻る。

という選択肢もあったけど、無人島である野崎島には一応宿泊施設もある――勿論飲食店などはないので食料は持ち込む必要があるけど、そこの厨房で自炊は可能――

せっかくだから『無人島に泊まるって、面白くない?』

…ということで、事前にその宿泊施設に泊まる予約を入れました。13時に着いてから14時30分に町営船が出るまで1時間強あるので、地元のスーパーで買い出し。やっぱ見ない顔だと旅行者だとわかるんだろう、店員さんのおばちゃんからも「どこから来たの?」と聞かれるので東京から来たという話、野崎島に泊まる話をすると「腹の足しにこれ持っていきなよ〜!」(←もっとコテコテの方言)と蒸したお芋までいただいてしまった。ああ、なんかすごくいい。これぞ島旅って感じ。

スーパーの壁面にも旧野首教会。…誤算としては13時30分には昼時の営業が終わっちゃうお店が多く、島に渡る前に腹ごしらえできなかったこと。夕飯作るのも18時ぐらいと思うと時間が空く…そういう意味ではこのもらったお芋がめちゃくちゃデカかった!

野崎港


そして遂に!町営船「はまゆう」で野崎島に上陸します。夕方の便の乗客は2人――あ、でも1人じゃないんだ。何しに行く人なんだろう…?と思いながら。到着すると――意外と港に人が居る。まず帰る人が結構多い(いわゆる山ガール的な若い女性も居たりしました)、そして無人島といってもインフラ整備の為の工事が入っているようで工事用車両が結構ある(乗ってたもう一人の方はその関係者っぽかった)。想像していたよりは現実感あって「別に見捨てられた島ではない」。なんかちょっとホッとするような、残念なような…?真新しい「ビジターセンター」も最近建てられたそうです。

野崎集落




…とはいえ、あくまで島は住民が集団移住して人の居なくなった無人島。野崎港から近く最後まで残った集落跡には朽ちた家屋が沢山ある――ああ、家って潮風に吹き曝され続けたら朽ちるんだな…。もう時代から取り残される運命の風景。こういった石垣はもうここでしか見られないようなものかも。

高台にある神社もペシャンコ。色あせた狛犬は何を見つめる――。

沖ノ神嶋神社神官屋敷庭園


そんな野崎集落に現れた庭園!沖ノ神嶋神社というのはこの島の北部にある飛鳥時代に建てられたとされる歴史ある神社。その神官が代々この集落に住まれていたそう(最後までこの島に残ったのがこの神官家)。屋敷自体はやはり最近新しく整備されたそうだけど、まさかこんな庭園があるとは!大変な収穫。
oniwa.garden

野崎集落〜旧野首教会への道




島の所々にあるフェンスはなんだろう?と思ったけど後々考えるとイノシシ対策なのかなー。ここまで開かれた島の風景を見ることもないので気持ちの良い景色。海もきれい。

先の廃集落の中含め、あらゆる場所に鹿がいる。だけど宮島や奈良の鹿と違ってほんまもんの野生…だからなのか、人の気配を感じるとピィッと合図をして逃げる。今回は全然近寄れなかった。まあ人より鹿の方が何百倍と多いので、近寄って来られても怖いけど(笑)たびたび鹿に見つめられる。

旧野首教会(野首天主堂)と野首集落跡

海を眺めながら野崎港から徒歩で25分程。世界遺産候補「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」に構成される教会⛪️・旧野首教会(野首天主堂)がその姿を現します。廃村・廃集落にレンガ造りの教会だけが佇む――この風景を見てみたかった。(ちなみに日中ならガイド付きで内部見学もできるそうです)



で、教会からすぐ下にある廃校が今回の宿泊施設。海も近いので夏は海水浴客が泊まるんだろう。部屋に荷物を置いて教会周辺を歩きます。所々にある水路や階段は当時の生活の痕跡。









ゴミの残骸は当時からあるものなのか、誰かが残して行ったものなのか――そしてこの辺にもあちこちに鹿が居る(けどすぐ逃げられる)。そして夜にはこの辺でもイノシシが出没するから安全のために暗くなる前に戻ってください、という説明も受けていた。この日は17時にはもう日も下がって暗かったし、北風が強くて超寒かった…ので見たかった景色を堪能できたら素直に宿に戻る。


oniwa.garden

無人島に泊まる。

そして野崎島の宿泊施設について。前述の通り自炊用の厨房や電力はもちろん、温水シャワーや浴槽もあるので泊まるには十分。更に、島自体はほぼ圏外なのにここにはWi-Fiが(笑)なんだかんだで助かります。適度に外界と切り離されつつそこまで不便でもない。これならまた泊まってもいいなー。この日は風強くて本当に寒かったけどガスファンヒーター(懐かしい、久々に使った!)や毛布も沢山あって助かりました。

宿泊する物好きは自分だけと思いきや、この日はなんともう一人居た!同年代の博多在住の男性。お互い持ち込んだお酒で乾杯しながらぐだぐだと会話。もうここへ泊まるのも何度か目で(今回も1泊じゃなくて2泊。持ち込んでる食料の量が本気だった…!)、この島を気に入ったきっかけは教会ではなく釣りスポットして良いからだそう。
『博多から数時間で(乗換1回で)来れて、人が居なくて、釣りが満喫出来て、そして自炊が出来るし3,500円で部屋で眠れる。最高』(磯釣りとかやる人はもっと高いお金を払って釣り船に乗って、寒い磯や揺れる船の上で寝たりする――それと比べて最高)、なんだって。そういう人も居るんだなー。めっちゃ良い匂いするスープ作ってるなあ、そういう仕事の方なんだろうか――と思ったら、別にそうではなくて「ボディービルやってると自炊せざるを得なくなる」という話も面白かった。

そんな旧野首教会。既に結構テレビ番組にも取り上げられたりタレントさんも来ている場所のようなので。世界遺産になったらもっと来易く/過ごしやすくなるのかもなあ。

教会までの道路は舗装の真っ最中。これは教会の世界遺産登録を見越したインフラ整備なんだろうけど――道路が舗装されて少しでも便利な方が良いのか、多少不便で非日常である方が良いか。どっちなんだろうなあ――今後整備が進んで行きやすくなってもそうでなくても是非また行きたい!

舟森集落

そんな感じで退屈もしなかったし不便でもなかった無人島での1泊。翌朝8時の船便で小値賀島に戻ります(やはり朝の便で島に来られる方が多かった)。今回はまず旧野首教会が見れたら満足だったけど、島にはもう2つ文化的に重要な場所がある。
一つが前述の沖ノ神嶋神社(ここには人の仕業とは思えない巨石群があるらしい)、もう一つが隠れキリシタン集落だった舟森集落。上の写真は船から見た舟森集落。いずれも片道1〜2時間のガイド付き登山が必要なので、これはまたいつか…。そして今回出会った人曰く「あの町営船は意外と高設備なので、ちょっとやそっとじゃ欠航しないはず」と。なら次回はもっと気軽に来る決断をしよう!

小値賀島へ戻って、次エントリから小値賀島編。ちなみに博多や福江から小値賀島まで来るフェリー「太古」もかなり新しくすごく快適に過ごせた。乗った時にめちゃくちゃ時化てて無重力状態を体感したりはしたけど…次回来る時はなんだかんだ博多からの深夜フェリーが便利なんだろう。





小値賀島編へ続きます。
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