秋の庭園巡り・宮崎編①。延岡・日向市編。妙国寺庭園、橋口氏庭園、美々津重要伝統的建造物群保存地区の町並みなど
秋の庭園巡り、宮崎まで来ました。大分臼杵編は↓。
romitou.hateblo.jp宮崎へ来るのは↓の時以来約4年ぶり。その4年前に巡った名勝・妙国寺や次エントリの飫肥への再訪が主な目的ですが、日向市美々津の重伝建地区もその頃から「行けばよかった〜」と思っていた場所。
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宮崎県第二の都市。延岡の町並み
まずは初めて降り立った延岡から。宮崎県北部に位置する宮崎県第二の都市。かつては延岡藩の城下町、現在は旭化成の企業城下町なんだそう。宮崎駅からは特急で1時間、普通列車で1時間半の距離。地図で見ると結構離れているし近いとはいえないけど、平野を真っ直ぐ走っていくので割とスピード感はある(ほぼ同じ距離の佐世保〜長崎間は快速で2時間強掛かる)。愛媛の時と同じく人口動向を書くと、宮崎県第二の都市と言えども10年間で13.5→12.5万人と1万人の人口減。
延岡駅はちょうどリニューアル中だった。見た感じ現代風のかっこいい駅舎になりそうな感じがしたし、駅の中にスタバが入る模様…地方のこのレベルの駅舎にスタバが入るって頑張った感あるなあ。これで人の駅への流れが出来たら面白いし、工事中にまずロゴだけまずあって期待を煽るというのも面白い。
延岡は隣の南延岡駅との中間点にある、川の中洲のような場所に中心市街地・繁華街が形成されている(城跡がそちらの方にあるからみたい)。延岡駅からそのエリアまでアーケードの商店街が続くものの、南延岡の方に大きなイオンモールがあるので多分現在はそちらの方に人が流れてるんだと思われる――人通りがなくはないけど多くはない。いや、街の規模を考えればまだ「商店街が生きてる」と言えるレベルかなー。
で、その中洲の中心市街地。道も広いしちゃんとした建物も多いし、このへんはさすが県内第二の都市といった感じ。忘年会シーズンなので到着した日の夜はかなり人通りがあったしキラキラしてた。中洲の向こう側へ渡ればもう旭化成の大ーっきな工場があるので、ちゃんとそこからの人の流れがあるんだろうな。
内藤廣建築・日向市駅
内藤廣さん建築の駅舎。相変わらず素敵です。
そして以下は駅前の町並み。この飲み屋街、前回は気付かなかったー。
駅前の観光協会でレンタサイクルをして駅から東へ約3km。港町である細島へ向かいます。
日向・妙国寺庭園
国指定名勝。鎌倉時代に創建した寺院で、本堂横の池泉鑑賞式庭園が宮崎県唯一の国指定名勝庭園。作庭年代は不明で、開山当時に元となる庭園があった説・江戸時代中期に造られたという説などがあるそうです。年の瀬だからか関係者の大掃除が行われていた中で見学させてもらいました。
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日向・細島の町並み
日向市の古くからの港町・細島。後で行く美々津ほどの古い町並みが残っているわけじゃないけど、有栖川宮殿下が滞在したとされる商家「摂津屋」や同じく商家「関本勘兵衛家住宅」などが良い味を出してます――って今ググったらこの関本家住宅は古庭園があるっぽい。見学すればよかった、、、
美々津重要伝統的建造物群保存地区の町並み
美々津は古事記や日本書紀で神武天皇が東征のために出航した地――とされているなど、港町として古代より栄えた町(とのこと)。明治時代には県庁が置かれ、宮崎県が「美々津県」と名乗ったほど。
その歴史を考えると古い町並みに必然性がある一方、現代においては最寄り駅が無人駅というのはなかなか寂しい…。実際のところ、本当に素敵な町並みだったけど他に誰も歩いていない。まー12月の祝日に美々津とか行きたいと思う人はレアといえばレアでしょうが…それでも翌エントリで書く、同じ宮崎県の重伝建地区・飫肥はそこそこ観光客居たのになあ。宮崎駅からの所要時間で行ったら美々津の方が若干近い。
前述の通り、神武天皇が美々津の港から出航した伝説が残っているため「海軍発祥の地」といった碑が。しかし日常の中で旭日旗が掲げられているのを見るのは初めてかも。
以下が駅から向かった時の町の入口、新町のあたり。
↑駐在所の見た目が方舟のようでかわいかった。↓駅前に枯山水庭園が。
日向市歴史民俗資料館(河内氏住宅)
美々津の古い町並みの中では何軒か古い町家・商家を公開している施設があり、そのうちの一件である日向市歴史民俗資料館を見学。中庭の枯山水庭園は当時(江戸時代)からあるものと聴きました。収穫。
それにしても2階も広く使おうという意識の元か段差があって。ストイックだな〜と思いながら見学。楽しかった。美々津軒とかも行きたかったけど時間の都合上今回は断念…。
秋の庭園巡り・大分県臼杵編。臼杵城跡、旧臼杵藩主稲葉家下屋敷庭園、二王座歴史の道〜城下町の古い町並み
右が愛媛県、左が大分県。
秋の庭園巡り、大分県臼杵市編。愛媛県の八幡浜からフェリーで渡って初めて来ました。渡る前の宇和島編は↓。そしてJ1昇格を決めた大分アウェー以来の大分県です。
romitou.hateblo.jpromitou.hateblo.jp前エントリでも書いたけど、愛媛の西部・八幡浜と大分の南部・臼杵市を結ぶ航路――きっと昔はわざわざ陸路で小倉辺りまで行かなくて良い、大阪や京都へ向かう為に良いショートカット路線だったんだろうな。決して今後利用者が伸びる路線ではないだろうけど、船がリニューアルしたばかりできれいだったので頑張ってほしいなあと。リニューアルを記念して作ったと思われる冊子もデザインがオシャレだったので…。
臼杵港は臼杵駅や市街地からも約1km程の距離なのでそんなに不便な場所ではない(何もないっちゃ何もないけど)。間近で造船中の船なんかも見られて、おおー迫力あるなーなどと思ったり。
ちなみに整備新幹線の一覧を見ていたら、四国の松山駅を経て、八幡浜より西に伸びる四国最西部・佐田岬半島を通り大分へ至るルート…というのが実はまだ生きていたりする。今ググったら大分県内の新聞で今年構想が記事になっていたぐらい。これが実現したらいよいよその時、この航路の役割が終わるんだろう。
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臼杵城跡(臼杵公園)
臼杵港から市街地へ向かって歩いていくといきなり高台・臼杵城跡があります。戦国時代に大友宗麟が築いた城が前身で、江戸時代は臼杵藩の拠点となるお城だった。一部の櫓や石垣が残りますが、あとはほぼ市民公園化されています。何かに「庭園の遺構が残る」って書いてあったけどそれっぽいのは見つからなかった…護国神社の神池がそうだという感じもしないし…。
旧臼杵藩主稲葉家下屋敷
江戸時代に臼杵藩を治めたのが稲葉氏。江戸時代が終わりその稲葉氏が藩主の任を解かれ東京へ戻った後、臼杵での滞在用に造られたのがこのお屋敷(なので江戸時代の武家屋敷ではなく明治時代の建築)。臼杵で見たいなと思っていた庭園の一つです。屋敷から門から、色んな建物が国登録有形文化財。
庭園を通じていく離れには江戸時代の臼杵藩武家屋敷・旧平井家住宅も。また敷地内の臼杵市立臼杵図書館も国登録有形文化財。
野上弥生子成城の家、山海荘主屋
城下町からは少し離れた場所(城の北側の海沿い)にも国登録有形文化財の建物が残されています。元は臼杵城の御殿だったとされる山海荘と、臼杵出身の作家・野上弥生子が東京は成城で暮らしていた時の家屋を移築したもの(たしかに成城にありそう)。所有者は臼杵に本社を置くフンドーキン醤油。
臼杵の古い町並み〜二王座歴史の道
前述の通り城下町だった臼杵には現在も古い町並みが残されていて、商店街や飲み屋街など現在も街の中心になっています。冒頭の「小手川酒造」一帯は江戸時代からの建築が残されていて国登録有形文化財。
佐伯駅
さてこの日は宮崎県延岡市まで向かいます。福岡・小倉から大分を経由し宮崎まで結ぶ日豊本線、大分県内の臼杵〜佐伯間はこのつい数日前までこの夏の大雨の被害により運休していて、ちょうど復旧したばかりでした。なので佐伯駅には地元の学生による復旧を記念したボードが。
佐伯で下車するのも初めて。街歩きしたいなーとは思っていたけど、時期的に17時前にはだいぶ日が落ちてしまう。佐伯の旧市街(武家屋敷の町並みがあるらへん)は駅から2kmぐらい離れた場所にあって、レンタサイクルももう閉まっちゃう時間だったので今回は断念…。その周辺には国木田独歩の暮らした旧家や市民茶室のある(割と新しめの)庭園もあるようだったので、もう少し明るい時間だったら寄りたかったな。駅周辺を歩いたけど特筆することはなし…(スーパーがあるので電車旅の食料調達には有り難い!)。フェリーの出ている佐伯港の方の港町なんかも気になったけど…いずれもまた次回に!
臼杵〜佐伯間は地元の学生を中心に乗客がそこそこ多かったけど、佐伯〜延岡間は普通列車は1日3往復しか設定されていない超閑散地区(特急列車はそこそこある)。そのうちの1つに乗って延岡まで。そして宮崎編に続きます!
秋の庭園巡り・愛媛編④。宇和島〜八幡浜編。宇和島城、天赦園、等覚寺龍華山庭園、西江寺庭園、明源寺庭園、「伊予の大阪」八幡浜の町並み
秋の庭園巡り、愛媛編その4。宇和島の前、松山市編は↓。
romitou.hateblo.jp四国のほぼ一番西側・宇和島へ来るのは2014年以来約3年半ぶり。初めての愛媛アウェーの前でした。
romitou.hateblo.jp一番の目的は大名庭園である「天赦園」の再訪ですが、宇和島の中心部にはそれ以外にも寺院の庭園が。行ったところない所も含め、引続き愛媛県造園緑化事業協同組合の「愛媛の古庭園」を参考にします。
宇和島城
宇和島以降の移動の予定を考えた時、宇和島を出たい時間は10時17分。そして天赦園のオープン時間が朝8時半。この1時間半ちょっとに色々と見に行きたい忙しない今回の宇和島。駅から天赦園までが約2kmなので自転車に乗れるとちょうど良いのだけど、宇和島はそんなに早くからレンタサイクルをやっていないので早めにチェックアウトして歩き始めることに。
で、せっかく自転車が無かったので「現存12天守」の一つ、宇和島城へ登りました。朝早いので天守(資料館)の中には入れなかったけど。市街地を一望できる良い見晴らし。
天赦園
国指定名勝。宇和島城の入口は何箇所かありますが、駅や商店街から一番離れた口から下るともう天赦園はすぐ。天赦園は宇和島藩主・伊達家の過ごした浜御殿の一部に造られた池泉回遊式の大名庭園で、完成は江戸時代後期。宇和島藩の初代藩主・伊達秀宗は伊達政宗の長男であり、その子孫・宗紀が政宗が詠った詩の一句より「天赦園」と名付けたそうです。
鬼ヶ城山の借景が美しく、場所によっては「現存12天守」宇和島城をのぞむことも。以下は前回気付かなかった枯山水庭園部分。早い時間だったけどやっぱ素敵な庭園でした!
oniwa.garden天赦園のあとは街の東側の寺町地区へ移動。この地区に残る古庭園を巡る。ちなみに西江寺、等覚寺、明源寺のある一帯は「辰野川流域の寺町風景」として宇和島新24景に選ばれているそうです。
龍華山等覚寺庭園
立派な山門の寺院で、庭園は宇和島市指定名勝。江戸時代初期、初代藩主・伊達秀宗(伊達政宗の長男)によって創建。それ以降は伊達家の菩提寺となっており、歴代藩主の墓所が県や市の史跡に指定されています。庭園は創建当時に造られたものとされ、現在では池の水は抜かれていますが書院から眺める池泉鑑賞式庭園。ソテツが植わっている雰囲気が温暖な宇和島らしい雰囲気を醸し出している。
常時公開ではないので拝観は事前連絡が無難です。
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西江寺庭園
ここは前回も来ました。愛媛県指定名勝の庭園。鎌倉時代に創建された宇和島最古の寺院で、伊達秀宗の城下町整備により現在地に移転。江戸時代初期作とされる枯山水庭園で、二方向にのぞめる借景の山々が美しい。広い芝生に築山と植栽という手法はあまり似た庭園を見ない気がします(あとは石橋も特徴的!)。
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明源寺庭園
西江寺の近くにある明源寺さんの枯山水の庭園も桃山時代〜江戸時代初期に築庭されたと推測されている、宇和島市指定名勝の庭園。西江寺のように広い芝生に特徴のある石組、そして築山と美しい山の借景。1枚目は手前に木が写っちゃってるけど、この辺りの位置から借景と築山を一緒に楽しむのが一番だったのでは…と感じました。常時公開ではないので拝観は事前連絡が無難。
あと以下はお隣の「山本内科」さんの庭園。ガラス越しに見えた庭園、素敵だし歴史ある庭園なのではという気がして。気になる!
oniwa.garden金剛山大隆寺
等覚寺よりも南側(山っぺり)にある寺院「金剛山大隆寺」。こちらも伊達家の菩提寺で、本堂裏?には市指定名勝の庭園があるのですが、拝観は断られてしまいました…。でも上の写真だけでも結構造園に力入れてる感は伝わってくる。
宇和島の町並み
ということで、今回はレンタサイクルができなかったので行動エリアも限られて。本当は普段行かない街はもっともっと街をめぐりたいけど今回はそれはかなわなかった――けど前回来た時多分歩いていない上記エリア(駅のちょい北側から続く飲み屋街)は夜も朝も歩いていて楽しかった。
中心商店街「きさいやロード」も10万人を切った規模の街のアーケード街としては日本屈指の大きさじゃないでしょうか。西条や新居浜の数倍も立派だし、というか宇和島の人口が10万人に満たないことが驚き。お城の規模、中心街の規模からするともっともっと大きな街の印象を受けるんだけど――さすがに四国の最西南という大都市からのアクセスの悪さを考えれば、地方の過疎の波に飲まれているということかねえ…。新居浜が20年で13万人→12万人という人口減に対して、宇和島は15年で9.5万人→7.7万人、、、。
予讃線の風景
そして予定通りの列車で宇和島を出ます。宇和島〜卯之町の間で見られるこの《みかん畑と宇和海の風景》、日本三大車窓に負けず劣らない位めちゃくちゃ絶景だと思うのです。
にしても乗客少ない…松山行ですらない八幡浜行。松山から宇和島までは特急で1時間半、鈍行で3時間。意外と遠い。鈍行でなく高速バスを使うと2時間ぐらいで、JRよりも安い。今回の中国〜四国の移動は福山→今治、(新居浜→)西条→松山、松山→宇和島と結構都市間バスを利用した。正直本数も列車よりも多いし時間も多少速いので助かるし便利。…そりゃJR四国も経営が難しいよね(京都でホテルを運営するって報道があったけど、そうやって関連ビジネスで収益源探すよな…という)。失われてほしくはないけれど。
伊予の大阪。八幡浜の町並み
宇和島から約1時間。八幡浜へ初めて来ました。お隣の大洲市が「伊予の小京都」ならばこちら八幡浜は良港を持ち「伊予の大阪」と呼ばれ栄えた商業都市。駅から少し歩いた場所(港方面)にかつての(現在も)中心街が残り、古い町並みや長いアーケード街が見られる。人口動向でいうと宇和島の傾向と同じでなかなかの減りっぷり、この15年で4.4万人→3.4万人…。
ただなんだろう…歩いていた印象としては、「昼間に街を歩いている人が意外と多い」。栄えているとまでは言えないのだけど、モータリゼーションに食われた地方の人通りの無い商店街って本っ当に人通り無いので。それと比べると八幡浜はまだ商店街が生きている感じ。これは市内中心部を通る道路が片側一車線で、車だと渋滞して不便というのがあるのかも。ところで上に写真載せた「大正湯」。2月に放送された『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』にも出ていた。八幡浜の街にはレトロな銭湯が似合う。
八幡浜駅から徒歩20分程の位置に九州へ渡るフェリーが出ている八幡浜港があります。そこへ向かいつつ忙しなく街歩きを…したものの、街中に残る文化財建築や三階建旅館も場所を特定できないうちにタイムアップ。ああもっと歩きたかったー…!
ということで11:45発のフェリーで愛媛を後にします。…ていうか「宇和島フェリー」の時刻表ばかり見てたけど(宇和島フェリーのこの次の便は14時台)、よくよく調べると「九四オレンジフェリー」が同じ航路で1時間後の12:45発の便があった。…それを知っていれば八幡浜をもう1時間歩いても良かったし、宇和島をもう少しゆっくり出来たかも…。で、「卯之町にも寄れたかもしれない!」とか結局迷う(ザ・優柔不断)なので、西予地方もまたいずれゆっくり来ます!八幡浜には駅・港から5km程離れた「川之江」地区にも、明治・大正の香り漂う古い町並みがあるようでそちらも気になる。
昔は新幹線・18きっぷとレンタサイクル中心だった旅も、LCCを始めとした飛行機で行く範囲が広がり、今回は都市間バス、そして前月の五島列島あたりからフェリーにも幅が広がってきた…。愛媛の西部・八幡浜と大分の南部・臼杵市を結ぶ航路。決して今後利用者が伸びる路線ではないだろうけど、、、船がリニューアルしたばかりできれいだったし、なんというか旅行者的には「心くすぐる航路」なので、頑張ってほしいなあと思うのです。佐伯・宿毛のフェリーもいつか乗りたい!
というわけで大分・臼杵編へ続きます。
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